日本バーチャルリアリティ学会 
サイバースペースと仮想都市研究会 第10回シンポジウム
「仮想都市を生きる」

講演概要と講師紹介


第一部 サイバースペースを支える情報技術


『サイバースペースを活かす検索技術の実際』


インターネットには大量の情報が存在するが、 これらは構造化されていないテキスト情報、静止画、動画、音声で構成されている。静止画、動画、音声を直接検索する技術は存在している。また、構造化されていないテキスト情報から意味を抽出して 検索する技術も存在している。しかしながら、これらの技術はWeb検索で要求される大量のデータに対する大量のユーザからの低コストな検索要求を満たせるまでには至っていない。インターネットの情報の検索の基本技術であるテキスト検索技術と その応用技術、開発と構築、運用の実際についてお話しする。

講師: 竹野 浩(NTTレゾナント株式会社 ポータル事業本部 技術マーケティング部)
NTT入社後は,主に X.500等の OSI 関連の開発に従事. 1994年になって初めて Webに触れ,何よりもその規格書の薄さに感銘を受ける. その後,Webの検索システム,特にクローラの研究開発に従事する. 2004年よりNTTレゾナント社勤務.より高速で大規模な検索システムの開発を 開始する.最近の関心ごとは大規模分散検索システムの安定運用


第二部 セカンドライフとオンラインコミュニティ


『セカンドライフにおける仮想社会と架空経済の現状と問題点』


セカンドライフに代表されるメタバースに関連して、メタバース・メディア特性、アバター・アイデンティー、メタバース・コミュニティー特性等について、 最新の調査データをもとに紹介します。

講師: 三淵 啓自(デジタルハリウッド大学院・セカンドライフ研究室 室長/教授)
セカンドライフ研究室にご興味をお持ちの方は、 http://www.dhsl.jp  をご覧下さい。


『オンライン・コミュニティに関する日韓比較』


橋元らは2005年12月、東京とソウル在住の一般市民を対象に、無作為抽出による質 問票調査を実施した(サンプル数は東京455、ソウル1,013)。調査の目的は、イン ターネットの利用実態、とくにオンライン・コミュニティやSNSへの参加状況の差異を 明らかにすることである。結果として、インターネットの利用率そのものは両者でほ とんど差はなくなったものの、利用実態にはかなり相違があり、オンライン・コミュ ニティの性格やSNSとの関わりも大きな違いがあった。今回、調査結果に基づき、日韓 のネット・ライフの相違について報告する。

講師: 橋元 良明(東京大学大学院情報学環教授)
1955年生まれ。東京大学文学部心理学科卒、同大大学院・社会学研究科修士課程修了。 同大学新聞研究所助教授、同大学社会情報研究所教授を経て、2000年から現職。専門 は、マスコミュニケーション論、情報社会心理学。研究テーマは、テレビやインター ネットが青少年の精神的発達に及ぼす影響調査・研究。著書に、『メディア・コミュニ ケーション論』(共編著)、『情報行動と社会心理』(編著)、『講座社会言語学第2巻  メディア』(編著)、『ネットワーク社会』(編著)など。


第三部 仮想都市の可視化


『大規模都市空間における人や車の行動モデルとリアルタイム予測・可視化技術』


本講演では、大規模都市空間における人や車の行動モデル(モビリティ)や、携帯無線機器を介して周辺環境から収集した情報に基づきその行動がどのように変化するかをリアルタイムに予測・可視化するための技術に関連する最近の研究成 果や今後の研究動向を紹介する。また、ユビキタス通信機能を利用した防災支援システムや新しい高度道路交通システムなど、安全・安心を実現する都市基盤システムの構築を支援するネットワーク技術を紹介する。

講師: 東野 輝夫(大阪大学 教授)
昭和54年大阪大学基礎工学部情報工学科卒業。昭和59年同大学院基礎工学研究科博士後期課程修了(工学博士)。同年大阪大学助手。平成11年より同大教授。現在、大学院情報科学研究科・モバイルコンピューティング講座・教授。この間、通信プロトコル・分散システム・モバイルコンピューティングに関連す る研究に従事。情報処理学会フェロー、DPS研究会・前主査。本年10月より科学技術振興機構(JST) CREST(先進的統合センシング技術 研究領域)研究代表者。近年、総務省の戦略的情報通信研究開発推進制度(SCOPE) の支援を受け、人や車 の現実的な行動モデル(モビリティモデル)に基づき大規模なネットワークシミュレーションを行うための理論的枠組みを考案し、その方式に基づくアドホックネットワークシミュレータMobiREAL (http://www.mobireal.net)を開発し、15カ 国50以上の研究機関にシステム提供している。


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